インターネットギャンブルに対する厳格な対策規制を求める申入書を提出しました
お知らせ
2025-03-16
令和7年3月13日付で,金融庁に対し,インターネットギャンブルに対する厳格な対策規制を求める申入書を提出しました。申入書の全文は下記のとおりです。
要請の趣旨
第1 各金融機関の広告サイトにはギャンブル広告を掲載させないよう要請指導を強化すること
第2 消費者金融に対し,ギャンブルサイトへの連動・リンクをさせないよう要請指導をすること
第3 オンラインギャンブルを通じたマネーロンダリング対策を一層強化すること
要請の理由
1 近年,インターネット通信の発達により,違法合法を問わず,オンラインギャンブルが広く利用されるようになっている。メジャーリーガーの元通訳の違法スポーツ賭博から始まって最近ではオンラインギャンブルに関与したとの廉で芸能人なども摘発がされており,深刻な社会問題として浮き彫りになってきました。
2 そもそもギャンブル(=賭博)は,消費者が多額の負債を負い,家族や友人,同僚などとの人間関係を損なうのみならず,窃盗強盗その他の犯罪を誘発するなど,社会を崩壊させることから,原則として刑罰で取締の対象とされているものです。
3 オンラインギャンブルは,いつでもどこでも手軽に行うことができるという性質から「金銭」を賭けているという現実感に乏しく,従来の対面型ギャンブルに比較して,ごく短期間の間にギャンブル依存状態に陥り,極めて高額の経済的損失を生じるものとなっています。その被害は,青少年や働き盛りの社会人など若年層を中心にかつてないほど深刻に拡がっています。そのため,これらギャンブルサービスの利用者(及びその家族)は,危険極まりないサービスに無防備にさらされており,その消費者としての権利が侵害されているということもできます。
4 にもかかわらず,特別法のある公営ギャンブルも含めて我が国のオンラインギャンブル対策はほとんど存在していません。
違法なオンラインギャンブルについては,海外の捜査機関との共助も含めて,事業者に対する徹底的な取締摘発が必要であることはいうまでもありませんが,公営のインターネットギャンブルにあっても,禁止もしくは抜本的な規制が必要であると考えます。
5 インターネットギャンブルでは,口座の紐づけ,クレジットカード決済,キャッシュレス決済,キャリア決済などの簡易な決済方法の採用と相まって,事実上,借財によるギャンブルが可能となっており,公営ギャンブルに求められる高度の公益性からすれば,こうした現状はとうてい是認されるべきものではなく,他方,金融機関の側にあってはこれらの賭博ギャンブル行為を通じて業績を上げることにも繋がっているこうした実態は看過することができません。
6 ギャンブルを容易にできるものでないようにすることが,ギャンブル依存対策の要諦であり,本来我が国にあっては,こうした非対面型ギャンブルは完全に禁止されるべきものと考えますが,仮に,オンラインギャンブルを完全に禁止することができないとしても,ギャンブル事業者に対しては,利用者に対する時間制限,掛金上限制限など厳格な規制を実施するとともに,金融機関に対しては広告の禁止や,借財行為に繋がるシステムを禁止することを通じて,ギャンブル被害を抑制することにつながるものといえます。
7 アメリカでの昨年の水原事件は,MGMグランドというカジノ事業者による監督官庁へのマネーロンダリングと疑わしき取引の未報告があったことからはじまった捜査当局の取り調べの過程で知られることになったものですが,我が国でも昨年末にイオン銀行がマネーロンダリングと疑わしき取引についての未報告が貴庁によって指導命令が行われています。また,東南アジアでオンラインギャンブルを活用したマネロンが急速に拡大しているともいわれています。
オンラインギャンブルサイトなど,海外の違法サイトを利用するうえでは,国内銀行口座などから指定された決済代行業者口座に送金をすることが必要となりますが,その際,マネーロンダリングが行われる可能性があることから,御庁においても注意喚起や啓発が繰り返し行われてはいるものの,違法オンラインギャンブルへの金融サービスの提供については,終局的には各金融機関の経営判断からして放置されているのが実情と率直にいわねばなりません。
警察庁もマネーロンダリング防止の観点から目下のところ精力的に違法サイトへの摘発を行っていただいているものの,現行刑法規程により賭博行為が違法であるがゆえに,消費者保護の観点からの体系的で実効的な措置をとる権限を用意した監督規制機関が日本では空白なのが実情で,とりわけコロナ禍を前後して爆発的に広がっているオンラインギャンブルのサイトの普及に比して捜査摘発の規模がまったく追いついていないのも実情と思われます。あらためてマネーロンダリングが疑われる取引についての徹底した指導監督を求める次第です。