消費者法ニュース リレー報告会で活動報告を行いました

2024-08-03

令和6年8月3日13時から,一般社団法人消費者法ニュース発行会議主催のリレー報告会が開催されました。
いちょうの会からは,前事務局長の川内泰雄に代わり,代表の植田勝博弁護士が活動報告を行いました。
以下,報告内容です。



大阪いちょうの会の被害救済活動の現場

(1)大阪いちょうの会の活動の方向
荒れ狂う多重債務被害,ヤミ金被害との戦いを長年続けてきて33年,この間,大阪いちょうの会の会員として巣立って行かれた方々は約9000人にのぼる。 また,相談だけで,アドバイスを受けて通過していった方々を合わせると,本当に多くの方々が大阪いちょうの会を通して生活の再建を目指して歩んでいった。
みんなの力をあわせての運動は多重債務対策を大きく前進させ,相談件数共に状況は大きく変化した。 しかし,背景たる貧困問題は悪政の進行とともに一層深化し,私たち大阪いちょうの会は「格差と貧困をなくす」運動に大きくウイングを広げるべく,正式名称も「大阪クレサラ・貧困被害をなくす会」へと変更した(大阪いちょうの会は通称である)。 それに伴い,個別の具体の貧困問題に対処すべく,委員会活動の強化に力点をおいてきた。
「ギャンブル被害対策委員会」「ヤミ金対策委員会」「西成支援対策委員会」「高齢者障がい者問題対策委員会」「生活弱者の住み続ける権利対策委員会」等があり,また,連携する仲間と共に「カジノ問題を考える大阪ネットワーク」を結成し活動を行っている。

(2)現場へ赴いての活動
①私たちは,15年前より貧困の最前線といわれる釜ヶ崎へ出向き,毎週水曜日に西成市民館をお借りし,定時定点相談会を継続している。 当初は,ヤミ金の相談=「ヤミ金の巣窟」「ヤミ金長屋」等へのドキドキ通告訪問などが中心であったが,様相が大きく変わってきている。 様々なネットワークからの紹介で単独,あるいは支援者帯同で毎週5〜10名ほどの方が相談に来られ,今では大きく地域に根付いている。 相談内容は,「昔の借金が・・・」「借金で故郷を逃げてここにたどりついた」「自分の戸籍はどこになるのか」「スマホを売った」「銀行口座を売った」「生活保護を受けられぬか」等等,多種多様である。
②また,当会では同じく15年前ほどよりギャンブル被害からの脱出を図るべく苦闘する当事者自助グループ,家族の自助グループの集まりの現場へ赴き,諸相談に対応している。 それに伴い,後述する活動とあわせ,医療機関,民間団体,関係行政機関との顔の見える関係づくりを行っている。

(3)ギャンブル被害のない社会を目指して
当会は大阪において国家をあげてのカジノ誘致の動きが急進する中,ギャンブル依存症はギャンブル=賭博による構造的被害であると位置づけ,ギャンブル被害ゼロの社会を目指した取組みを展望している。 「借金問題の表面化で発覚したギャンブル被害」で当会に寄せられた相談対応は昨年度(2023年4月〜2024年3月)で電話相談が356件,対面相談が165件という状況である。 私たちは医療機関&自助グループ&いちょうの会の3機関はギャンブル被害回復へのトライアングルと位置づけ,双方向での紹介活動を行っている(とりわけ,自助グループへの参加を最優先)。 内容的にコロナ禍以前はパチンコ被害が主流であったが,最近は公営の競馬,競輪,競艇などが圧倒的主流であり,「若年化」「短期間での多重債務化」「大型債務化」が特徴である。 とりわけ,「スマホの中の賭博場」「スマホの中での借金」問題は法規制を含めた早急なる対策が必要である。
また,現在の国をあげてのギャンブルに誘導→ギャンブル被害・苦しみの大量発生→マッチポンプ型「ギャンブル依存症対策」という悪の循環をなくし,ギャンブル害最小策=ギャンブル産業の縮小化へと転換することがどうしても必須である。 共に運動を展開すべく,多くの方々が「協力会員」として大阪いちょうの会へご入会いただきますよう,心から訴えるものです。

(4)そして
令和6年6月29日,あらゆる金融被害に真正面から立ち向かい,とりわけヤミ金被害には「ヤミ金バスター」ともマスコミから称された田中祥晃さんが亡くなられた。 貸金業法改正への輝かしい時代をリーダーとして全国の仲間を鼓舞激励し,2000年から10年間,大阪いちょうの会の事務局長として頑張ってこられた。 また,全国借地借家人組合連合会会長として大奮闘,素晴らしい89年間の人生であった。私たちは,田中さんからしっかりとバトンを引き継ぎ,歩んでいきたいと思う。